秋の味覚
「ね〜、カカシ?」
「な〜に、ちゃん?」
オレたちは久しぶりに二人でのんびりと過ごしてた。ちゃんは『読書の秋』ってことで、分厚いハードカバーのミステリーを一生懸命読んでた。
「もうちょっとさ〜、離れない?」
「え〜、なんでぇ〜?」
ちゃんちの二人掛けのソファに並んで座って、オレはちゃんの腰に腕を回してピッタリくっついてたんだ。
だって、せっかく二人でいるんだよ?
ちゃんは外じゃ、イチャイチャさせてくれないし(家でもあんまりさせてくれないけど)
ただでさえ一緒にいれる時間は少ないんだし、かわいい恋人にくっついてたいオレの気持ちもわかって欲しいと思わない?
「・・・まぁいいけど(ハァ)」
オレに何を言ってもムダと思ったのか、ちゃんはまた読書に戻っちゃった。
くそぉ、マジであの本にやきもち焼いちゃいそうだよ。
そりゃオレだって読書好きだよ?イチャパラなんてもうサイコーだもん♪
でもねぇ、ちゃん?
せっかく二人でいるのに、なんでそんなに読書に夢中になっちゃうんだよぉ〜(涙)
あまりにもちゃんが無視(というか、読書に夢中!)するんで、退屈したオレはちょっとウトウトしてた。
ちゃんにくっついて眠るのって、すんごく気持ちいいんだよねvv人の体温って、ものすごく安心する・・・。
ピンポ〜ン!!
「お客さんだ」
ちゃんはパタンと本を閉じると玄関に向かった。ん?この気配は・・・。
「ハーイ?」
お客の気配で誰なのかわかったオレは、玄関のドアを開けようとするちゃんに後ろから抱きついた。
「ちょっ、なにすんのよ?!」
「開けちゃダ〜メ」
もう〜っ!とちゃんはオレを邪険に振り払うと(←ヒドい(涙))ドアを開けた。
「誰かと思えばアスマじゃない。どしたの?」
ドアを開けると、そこに立っていたのはヒゲクマ・・・じゃなくて、アスマだった。
「よぉ、・・・って、その後ろにくっついてんのは何だ?」
「うるさーいっ(怒)」
「うるさいのはカカシでしょ」
オレはちゃんを後ろから抱きしめて、まぁ犬で例えるなら『ガルルルルッ』って唸ってるような状態だった(笑)
アスマの奴め、油断もスキもあったもんじゃない!たまたまオレが居たからいいようなものの、ちゃん一人だったらヒゲクマに食べられちゃったかもしれない!!
「何しにきたんだよ、アスマ?オレのちゃんに手を出そうなんてイ〜イ根性してんねぇ〜?」
「・・・ちょっと黙っときなさい」
ちゃんは器用にも後ろ手でオレの頭をパシッとはたいた。
「ごめんね、アスマ。無視しといて」
「ヒ、ヒドい・・・」
再起不能だよ、オレ(涙)ちゃんて、オレをヘコませる天才だよ・・・。
「珍しいね、アスマがウチに来るなんて」
「ああ、今日はおすそ分けにな」
そう言ってアスマが見せた袋には、たくさんの栗が入っていた。
「わぁ、栗だ!」
キャーと叫びだしそうなちゃん。秋の味覚、大好物の栗を目の前にして、ちゃんはすごく嬉しそう。
「今日の任務が栗拾いだったんでな。チョージからお前にやってくれって頼まれたんだ」
「チョージくんが?」
チョージってのはアスマんとこの下忍で、ちょっと前に木の葉病院に腹痛で入院したらしい。
原因は食べ過ぎだったみたいだけど。
その時の担当がちゃんで、それ以来なぜだか懐かれているらしい。『おいしいパン屋さんができた』だとか『新製品のチョコがでた』だとか、食に関する情報交換をしているそうだ。ときどき珍しいお菓子を持って帰ってきては『チョージくんに貰った』なんて言ってるし。
子供にまで人気があるんだね、ちゃんvv
・・・って、この際子供は許そう。でもねぇ、大人はダメ!オレ以外はダメなの!!
「わぁ嬉しいなぁ〜♪栗、大好きなのv」
「そうか、良かったな」
こんな奴に微笑んでやんなくていーのっ!コラ、そこのヒゲクマ、お前も笑い返したりしなくていいの!
「!!」
ちゃんは『いーこと思いついた!』みたいな顔をした。
「ね、アスマ、今晩ヒマ?」
「別に予定はねぇよ」
あるわけナイじゃん、こんなヒゲクマに!・・・ってか、なんで予定なんか聞いてんの、ちゃん?(汗)
「じゃ、晩ゴハン食べにこない?これで栗ご飯炊いて、あとはお鍋かなんかになると思うけど」
「えっ、ちゃんっ?!・・・ぐぇ」
最後の『ぐぇ』は、ちゃんの肘鉄がモロにみぞおちに入ったオレのうめき声(涙)
「う〜んとね、あと二人、誰か連れてきてね。あ、お酒は持参でね。ほかは用意するし」
「・・・お、おう。じゃ、お言葉に甘えるとするか。紅かアンコあたりに声かけてみるぜ」
「うん、じゃ待ってるね♪」
オレを無視して会話が進んでいく・・・。なんでだよ〜、ちゃん?せっかく二人っきりだったのにさぁ?
さすがにオレがむくれてるのがわかったのだろう、ちゃんはアスマを見送ったあと、オレの方を向いて言った。
「ねぇ、カカシ?」
「・・・」
そう簡単に機嫌直したりしないんだからね、ぷーんだっ(怒)
「ウチの台所見て、なんか気づかなかった?」
「?」
なんだって突然、台所の話になっちゃうの?
ちょっと毒気を抜かれたオレは、ちゃんに腕を引かれて台所へ・・・。
「あれ見て、なんにも思わないの?」
そこには、野菜がいっぱい積まれていた。大根に白菜、にんじんetc...とても二人じゃ食べきれそうにない。
「どうしたの、アレ?」
「退院した患者さんにもらったんだ〜。元気になって畑仕事ができるようになったからって。
食べきれないって言ったんだけどね」
困っちゃうよね〜って言いながら、ちゃんはとっても嬉しそうだった。そうだよね、お医者さんのちゃんにとってイチバン嬉しいことって、きっと患者さんが元気になることなんだよね。
・・・オレはなんだかすねてる自分がバカバカしくなってきた。
「よしっ、じゃ頑張ってお鍋つくろっか!(アスマのためってのが気に入らないけど)」
「うん!・・・じゃ、影分身出してくれる?(にっこり)」
「へ?」
このときのオレは相当マヌケな顔をしてたと思う。
「お買い物に行く人と、おそうじする人と、栗むく人ね」
「あ、あの、ちゃん?(汗)」
「じゃヨロシク!あ、お買い物リスト、今作るからね〜」
ちゃんは腕まくりをして、すっごく楽しそうに準備を始めた。
結局、オレはちゃんに弱いんだよね〜。そりゃモチロン、二人っきりでいちゃいちゃしたいけど(いやマジで・・・)
ちゃんが楽しそうにしてるのを見てるのが大好きなんだ。みんなに囲まれて楽しそうにしているちゃんを見てると、ちょっとやきもち焼いちゃいそうになるけど・・・・・・そんなオレに気づいて、
『どうしたの?』
って、目で問いかけてくれるちゃんが大好きなんだ。
・・・だから今日は、ちゃんの言う通りにしてあげる。でも、今度はオレのわがままきいてもらうからね?
覚悟しといてねっ、ちゃんvv
【あとがき】
またもやカカシ先生登場です。こんなカカシ先生でもいいですか?(汗)
いつかカッコイイ先生が書きたいものです・・・。
わたしは栗が大好きです!ビバ☆モンブラン♪
天津甘栗なんてもぉ〜止まりません(^^;)でも、あれってカロリー高いんですよね?一応、木の実だし。
大昔に栗ご飯にチャレンジしたことがありますが、栗の皮むくのが超大変!
「もっとありがたがって食べてくれ〜!」って感じでした。。。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
2003年11月11日