Pure




前に見慣れた黒髪の女の子が見えた。
ちゃーん。今帰りなのかな?」
背後まで瞬時に行ってそう声をかけると振り返る。
その振り返った姿に、この間あったときより、また綺麗になったなーっとカカシは思う。
そんな風にオレが思ってるなんて、 ちゃんは全然気づいてないみたいだけどね。
「うん。カカシも今、帰りなの?お疲れさま」
ちゃんこそ、随分遅いじゃない。」
「最近、仕事が忙しくて残業続きなのよね。」
「明日も朝早いのかな〜?」
「・・・えっと明日、明日は、えっと、休みだ。休み。」
どうしたのと少し首ををかしげて聞いてくる。そんな彼女の仕草にさえドキッとさせられる。
「よし、お疲れの ちゃんには今日はなんでも奢ってあげるよ」
「え、本当に。やった!!なんでもいい?」
目をキラキラと輝かせて大喜びして聞いてくる。
そんな風に言われちゃダメなんて言えるわけないデショ。
「なーにがいいの」
「てんぷら」
「・・・・え?」
「だから、てんぷら、美味しい店みつけたの。・・アハハ、嘘よ。そんなに嫌がらなくても、嫌いだもんね〜」
「でも、 ちゃんが食べたいなら」
「ほんとに嘘だから。無理しない、無理しない。そうね一楽のラーメンがいいわ」
「そんなものでいいの?」
「そんなものなんて、美味しいじゃない一楽のラーメン」
「美味しいけどね、ほんとーに一楽でいいのー」
「一楽がいいの!じゃあ早く行こうよ。ちょとお腹すいてるのよ。」
お腹を押さえるジェスチャした後、行こうよと一楽の方を向いた。
隣に並ぶようにして一楽までの短い距離を二人で歩く。
すぐに一楽についてしまい距離の短さに淋しさを感じる。
「どうしたのカカシ、ラーメン嫌だった。」
店の目の前に来て急にそんな心配をするのに少し笑ってしまった。
「そーんなことないよ」
「そう?じゃあいいんだけど。でもなんで笑ってるの?」
「笑ってないよー」
「笑ってるじゃない?」
ちゃんの気のせいだって。ほらお腹すいてるんでしょ」
む〜っとしていたが渋々という感じで、一楽ののれんをくぐる。
「なんにしよーかな。やっぱり にしよっと。」
ちゃん、 が好きだよね〜」
「うん、大好き」
その言葉がオレに向けられてるものなら嬉しいんだけどねー。
「で、カカシは?」
「え??」
「何ラーメンにするのかなと思って。なんでそんなに顔を赤くしてるの?」
「なーんでもないよ。オレ、オレはね、しょうゆ」
オレが思ってたことが ちゃんにばれちゃったのかなっと少しビックリしちゃったよ。
親父さんに注文を済ますとすぐに目の前に美味しそうなラーメンが前に置かれる。
横では、 ちゃんが髪をかきあげながら、口元でフーフーと麺を冷ましながら食べて、
幸せというのが顔に書いてある。
ちゃんは一生懸命食べていたかと思うと突然、顔だけをこっちに向けた。
「はい。」
そういってオレの方に少しラーメン鉢を寄せた。
「もういらないの?」
「カカシがじーーっと見てるから少し欲しいのかと思って。食べてるときにそんなに見られると落ち着かない。
 ほら、カカシも・・・もう自分の食べ終わったの!?」
ちゃんに気づかれちゃうくらい見ちゃってたんだ。
「もう食べちゃったよ。 ちゃんはゆっくり食べていーからね。」
そういいながら ちゃんの方に鉢を返した。
「うん。」
返事しながらもさっきより食べるペースがあがっている。
「幸せそうに食べるよね〜。ゆっくり食べるんだよ。」
「うん。とっても幸せ ゆっくり食べたほうがいいのはカカシでしょう」
「ま・・そうなんだけどね。」
「ごちそうさまでした」
「まいどありーー」
という言葉を後に一楽を出る
一楽からでると、忍びの里とはいえ人通りも少なくなって酔っ払いも多い時間になっている。
「ごちそうさまでした〜。幸せvvほんと今日はありがとう」
「どーいたしまいて。そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。」
「うん。すごく楽しくて美味しくて幸せな気分にしてもらっちゃった。」
「大げさだね。」
「ほんとなのになー。カカシは明日も任務?」
「ま、あいつらとね。」
「にぎやかそうね。あ、あれ?カカシの家の方向こっちじゃないよね、ご、ごめん。」
謝りながら心配そうに顔を覗き込んでくる。
「こーんな遅い時間に ちゃんを一人で帰らせるなんてできるわけないデショ。危ないんだからねー」
「ありがとう。」
「それにオレが ちゃんともっと一緒にいたいんだよねー」
「なに言ってるのよ。もう!」
本当なんだけどなーと声には出さず心の中で呟いた。
「もう着いちゃったね。」
「あ、ほんと、もう着いちゃった」
その言葉の中に残念そうな響きがあると思うのはオレの気のせいだろうか?
「また、一緒に行ってくれる?」
「うん。もちろん」
そういって微笑んでくれた。

ずっと家の前で見送ってくれる ちゃんの視界から外れる為、木の上に飛び移る。
こうでもしなきゃ家になかなか入ってくれそうにないからねー。
家に入ろうとする ちゃんの方に聞こえない声でおやすみと呟いた。
聞こえてるはずがないのに ちゃんが振り向き、オレがいる方を見ておやすみと呟いたように見えた。
なーんでここにいるのわかっちゃったんだろ。

の振り向いた姿は今日会った時より一段と綺麗。

こういう気持ちを恋っていうんだろうね。




【あとがき】
『そうよ、そうよ!やっぱり一番好きなのはカカシ先生だわーっ!!』
と、ひとりPCの前で叫んでおりました(笑)
「over&over」の吹雪さまより、サイト開設1周年のお祝いに頂いちゃいました
最近の浮気をちょっと反省してみたり・・・(笑)
これからもよろしくお願いしまーす!
吹雪さま、素敵なカカシ先生をありがとうございましたー!

 2004年11月1日