Be Happy! 後編




「ハイ、これ!」
「・・・・・・」
「ちょっと!なんで、あたしを睨むのよ?」
が、そんな手紙を預かってくるからデショ」
ここは人生色々――は、待機中のカカシのもとへ、例のごとく預かった手紙を届けに来たのだ。
「ったく、こんなヤツのどこがいいんだかねぇ〜?」
ヒョイとの手の中から封筒を奪い取ったのは、同じく待機中の猿飛アスマだった。タバコを片手に、封筒を数える。
「ひぃ、ふぅ、みぃ、と。3通もあるのかよ」
「ちょっとアスマ!勝手に見ないでよっ」
「別に減るもんじゃねぇだろ」
は封筒を奪い返すと、カカシに差し出した。カカシは渋々ながらもそれを受け取った。
「おい、カカシ。いい加減にオンナ作れよ。そうしたら、そんな手紙も減るかもしれねぇぜ」
「ほっとけ」
「それともナニか、好きな女でもいるのか?」
アスマの言葉に、はドキリとした。の差し出す手紙をカカシは必ず受け取っていたが、その差出人たちに色よい返事をしたことはなかった。
「・・・ああ、いるよ」
は思わずくちびるを噛み締めた。ギュッと心臓をわし掴みにされたような気がした。
「そりゃ初耳だな。じゃあ、その女とくっつきゃいいだろ」
「告白する前にフラれた」
「ほぉー、オマエを振るなんてなぁ〜?じゃあ、さっさと他の女にすりゃいいじゃねぇか」
「――他の女なんか要らないんだよ、オレは」
胸が痛い・・・。カカシの言葉に、の胸は張り裂けそうだった。
幼い頃からずっと大好きだったカカシ――いつかこの想いが届けばいい、そう願っていた。けれど・・・。
自分がカカシを想っていたように、カカシにも想い人がいたのだ。
『他の女なんか要らない』
それほどまでにカカシの心を占めているのは、いったいどこの誰なのだろうか?
きっと素敵なひとなんだ・・・。あたしなんて、逆立ちしたって敵いっこない。
じわりと涙が溢れそうになり、は慌てた。
「ちゃんと返事するのよ!じゃぁね!」
声が震えていないか、自信はなかった。くるりと踵を返して立ち去ろうとするに、アスマが背後から声をかけた。
「おい、!今晩ヒマなら、飲みにいかねぇか?」
は泣きそうな顔を見られたくなくて、振り返らず、そのまま頷いた。
「じゃ、酒酒屋に7時な。カカシも来いよ」
「オレは夜の警備に当たってるから、パス。おい、?」
「なに?」
「あんまり飲みすぎるなよ?ヒゲクマに襲われるぞ」
「人聞きの悪いこと言うなっ!」
「わかってますよーだ!じゃぁね!」
アスマは、を見送るカカシの横顔をチラリと盗み見た。
一瞬でもが振り返って、カカシがどんな瞳でを見つめているか気づいたらいいのに、と思う。
紫煙をくゆらしながら、アスマはカカシに気づかれないよう小さなため息を吐いた。


「ねっ!ちょっと聞いてるー?あたしの話っ!!(ヒック)」
「聞いてるって!、おまえ酒癖悪すぎ!」
酒酒屋に現れたは、アスマの制止も聞かず、ハイピッチで冷酒をあおっていた。はもともと酒に強い方ではない。
「うるさいなー!『まぁ飲めよ』って言ったのは、アスマじゃん!あ、ちょっとおねーさん、おかわりね!!」
店員に向かって空のグラスを振ってみせるは、すっかり目が据わっていた。
「あたしなんてねー、ずぅっと昔っからカカシのコトがスキだったんだよー?それなのにさ、アイツったらさ」
「ハイハイ、好きな女がいるっつってたな」
「・・・・うわーんっ(涙)そんなハッキリ言わなくていいじゃないよー!」
「俺にどうしろっていうんだ・・・」
涙でグチャグチャになりつつも、酒を飲むのを止めない・・・。アスマは頭痛がしそうだった。
「乙女の純情を返せー!カカシのバカヤローッ!!」
普段のは酒を過ごすことはあっても、あくまで楽しい酒である。しかし、今夜の乱れ様ときたら、よっぽど昼間の出来事が応えているのだろうと、アスマは思った。
「カカシの好きなヒトって、どんなヒトなのかな?綺麗なヒトなのかな?」
「俺が知るかよ」
「アスマ、冷たーいっ!!・・・なんで、あたしじゃないんだろ(グスン)」
「ああもうっ!わかったから、飲め!今夜はとことんつきあってやる!ねーちゃん、おかわり!」
半ばやけっぱちになって、アスマは叫んだ。


里を照らす銀色の月を、カカシはぼんやりと見上げていた。
「どうかしましたか、カカシさん?ゴホッ」
「いや・・・なんでもない。ちょっとぼんやりとしていただけだ」
カカシとともに里の夜警にあたっていたのは、月光ハヤテであった。夜警とはいえ、里にとっては重要な任務だ。
夜の闇にまぎれて、他国の忍が潜入してくるかもしれないからだ。しかし、今夜は月の光が眩しく、あまり潜入には適した夜とは言いがたかった。
「珍しいですね、あなたがぼんやりするなんて。何かあったんですか?」
「んー、あったと言えばあった、なかったと言えばなかった、かな」
「?」
がカカシ宛てのラブレターを預かってくるのは、今に始まったことではない。けれど・・・
何度繰り返されても慣れることはない。
それは、がカカシのことなど何とも想っていないという事実を突きつけられるようなもので。
それでもカカシがからラブレターを受け取るのは、に負担をかけたくなかったからだ。
責任感の強いのことだ、カカシが受け取らなければ自分で差出人に返しに行くだろう。
そして、カカシに渡せなかったことを謝るのだろう――頼まれれば断れない、の性格はよくわかっていたから。
好きだ、と言おうと何度も思った。子供の頃からずっと好きだったのだと。
けれど、その想いを告げる前に、は友人からのラブレターを差し出した・・・。
「カカシさん?」
「ああ、悪い。次へ行くか」
「ええ、そうしましょう。次の地区を回れば交代ですし」
二人の影は夜の里を駆け抜ける。今夜の里は静かで、何も問題はなさそうに思えた。
「おや、あれはさんの忍犬・・・でしょうか?」
たまたま通りかかった夜の公園で、二人は見知った気配を感じ取った。
?」
「カカシ殿!!」
「どうしたんだ、そんなに慌てて?」
カカシの知っている、いつもの傍らを優雅に駈けていくらしくなかった。時折突っ走ってしまいがちなを冷静なが押さえ、一人と一匹の見事なコンビネーションで任務をこなしてきた。
そのが、かつて見たことがないほどに慌てて取り乱している。
に何かあったのか?!」
「家にお帰りになってから、気分が悪いとおっしゃられて・・・。わたくしの言葉にも答えてくださらないのです!」
はどこに居る?!」
「ご自分のお部屋に」
「ハヤテ!悪いが・・・」
「わかっています。後のことはお任せ下さい。早くさんのところへ・・・」
「すまん!」
カカシの姿はあっという間に消えた。
「ゴホゴホッ!さて・・・アナタの作戦通りにうまくいきますかねぇ?」
「な、何のことでしょう!?」
月光を背にしたハヤテにじろりと睨まれ、はしどろもどろになってしまった。
ハヤテはそんなの様子をみて、クスリと笑った。
さんは酔うと、本音がでるタイプですから。逆に言えば、酔わなければ本音をだせない、ということです。
 確か今夜はアスマさんと飲みに行っていたはずですし・・・。酔っ払ったさんとカカシさんを
 ふたりっきりにすれば何か進展があるかもしれない・・・そう思ったのでしょう、あなたは?」
「・・・おっしゃるとおりです」
ハヤテの言うとおり、は酔ったときでなければ、なかなか他人に本心を明かさない。
ついつい自分の中に気持ちを押し込めてしまうのだ。
自分でもそれがわかっているのか、はカカシとは一緒に飲みに行ったことはなかった。
ハヤテがの気持ちを知っているのは、今夜のアスマのように自棄酒に付き合わされたことがあったのだろう。
「まぁ、いい加減じれったく思っていましたし。これ以上カカシさんが何もしないのなら、
 私が横から攫ってしまおうかと」
「ハアッ?!」
ハヤテの言葉に驚いて、は眼をまんまるにしていた。
も、もしかしてっ、この特別上忍も様のことを想っていらしたのでしょうか?!
「冗談です。・・・まぁ、半分は本気、かもしれませんよ?ゴホゴホッ」
冷汗タラタラのを見て、ハヤテはまた笑った。
「さて・・・明日になれば、カカシさんの惚気を聞かされるハメに陥るんでしょうねぇ」
かわりに酒でもおごってもらいましょうか、と月を見上げてハヤテは呟いた。
「そうだとよろしいのですが・・・」
「おや?思い切った作戦に出たわりに、自信がなさそうですね」
「いいえ、大丈夫です!」
自信のなさを振り切るように、はぷるぷると頭を振った。
様にはお幸せになっていただかなければならないのです!」
「それは勿論そうでしょうが、うまくいくとは・・・」
うっ、とは言葉に詰まったが、パッと頭を上げて叫んだ。
「『かわいい子には旅をさせろ』と言いますし、獅子は我が子を自ら谷に突き落とすと言うではありませんかッ!
 わたくしがこんなことをしたのも、可愛いご主人に幸せになっていただきたい・・・!ただそれだけなのです!!」
どう見ても『獅子』というよりは『可愛いわんこ』にしか見えないのですが・・・。ゴホゴホ。
主人思いの可愛らしい忍犬に、ハヤテは微笑ましい気持ちになり、の頭を撫でてやった。
『カカシ殿がダメなら、この方にしましょうか・・・』などとが考えているなどと、思いもよらないハヤテであった。


「大丈夫か、?!・・・って、酒くさっ!」
瞬身の術を使って、あっという間にの部屋に到着したカカシだった。あせって呼びかけてみたものの、の部屋はとんでもなく酒くさくて、どうみても本人は酔って眠っているようにしか見えなかった。
確かアスマと飲みに行くって言ってたな・・・。飲みすぎるなって注意したのに!
どう見ても酔っ払って眠っているようにしか見えないが、あのがあんなに慌てていたのだから、もしかしたら本当に具合が悪いのかもしれない。
「オイ、?大丈夫か?」
「・・・ううん・・・うるさいなぁ・・・」
「オイってば!」
「ん・・・?カカシ・・・?」
はようやく目を開けたが、ぽやんとしていて焦点が合っていない。
「だいじょ・・・いててっ(むにっ)」
はいきなり起き上がったかと思うと、カカシの両頬を思いっきりつねったのだ。「なにするんだよ?!」
「カカシなんて、だいきらいなんだからーっ!!」
「ちょっと、?!」
頬をつねっていたかと思うと、今度はグーでぽかぽかとカカシを殴り始めた。とは言っても、酔っ払いのすることなので、全く痛みはない。
「なにが『好きな女がいる』よ!なにが『他の女は要らない』よ!!・・・あたしに内緒で好きな女なんか
 作っちゃってさ!」
「オマエ、何言ってんの?!」
カカシが一生懸命止めようとするが、には聞こえていないようで。
やがて、の瞳からポロポロと大粒の涙が零れた。
これにはカカシも驚いた。子供の頃から負けず嫌いのが泣くのを見たことがなかったのだ。
「自分ばっかりひとりで先に進んじゃってさ、あたしがやっと追いついたと思ったら、ずぅっと先に進んでて・・・
 いつまで経っても追いつけなくて。
 今度こそ追いついたと思っても、どんどん先に行っちゃってて。カカシの隣に居たいのに、追いつけなくて」
・・・」
「カカシにふさわしいヒトになれたら告白しよう、ってずっと思ってたのに・・・。
 それなのに、それなのに、好きな女がいるなんてっ!」
「オイ、!ちょっとはオレの話も聞い・・・」
「子供のころからずっと大好きだったのにーっ!乙女の純情、返せーっ!!(号泣)」
「ちょ・・・落ち着けって!落ち着いて、オレの話を聞けってば」
カカシの言葉がようやく届いたのか、は一瞬泣き止んだかと思うと、今度はギュッとカカシに抱きついた。
「・・・でも好き」
と小さな声で呟いて、強くカカシを抱きしめた。
「・・・・・・
カカシの両手が、そっとの背に回された。口布を下ろして、その髪にくちづける。
「オレもずっと・・・・・・ん?」
すやすやすやすや・・・。
「すやすや・・・?って、言うだけ言って、眠っちゃったの?!」
ぎゅーっとカカシに抱きついたまま、はぐっすり眠っていた。その寝顔は子供の頃とまったく変わっていなくて、カカシを微笑ませた。
カカシは、もう一度を抱きしめた・・・。


「うわぁッ!?」
「あのねー、?一応女のコなんだから、もっと可愛く『きゃぁ』とかいえないのー?」
は驚いて、口をパクパクさせている。朝目覚めてみれば、隣にはカカシが居て。幸いなことに(?)きちんと服は着ていたが、カカシの両手はがっちりとの腰に回されていた。
「な、な、なにやってんのよーっ!?」
朝日に照らされたカカシの髪はキラキラと光っていて、とても綺麗だった。しかし、にはそれをゆっくり眺めている余裕はなかった。
ふぁぁと伸びをしながら、カカシが起き上がる。
口布も額宛も外したカカシの素顔を、こんなに間近で見るのは久しぶりだった。
「昨夜のコト、全然覚えてないの〜?」
「ゆ、昨夜・・・?」
背中を冷たいモノが伝った。確か昨夜はアスマと飲みに行ったハズだ・・・。
そう、昼間カカシに好きなヒトがいると聞いて、自棄酒を・・・。
「昨日、オレが人生色々でなんて言ったか覚えてる?」
「え?えーと、あんまり飲みすぎるな?」
「へー、ちゃんと覚えてたみたいだねぇ?(ジトーッ)」
あはは、とは笑ってごまかそうとしたが、カカシはジロリとこちらを睨んでいる。
「じゃあ、自分がなんて言ったか覚えてる?」
「・・・・・・(滝汗)」
ヤバい・・・あたし、昨日かなり酔っ払ってたのに・・・。うわぁ、カカシになんて言ったんだろ?
こ、告白なんてしてないよねっ?!
「オレのこと『だいっきらい!』だとか」
ギク。
「あー、そうそう、こうも言ってたなぁー?『乙女の純情、返せーっ!』とか」
ギクギクッ(汗)
「そ、そんなこと言ったかなぁー?(←声裏返り)」
「オマエが『乙女の純情返せ』って言うんなら、オレの『ファーストキス』を返して欲しいなぁ〜?」
「ファ、ファーストキス?!」
カカシの両手がスッと伸ばされたかと思うと、はカカシの腕の中に居た。
「んじゃ、早速・・・」
「うわぁっ!ナニすんのよ!?この変態エロ上忍っ」
「んー
がジタバタしても逃れられるわけもなく、カカシの形の良いくちびるが近づいてくる。
「あ、あたしっ、お酒臭いからダメぇーっ」
真っ赤になってが叫ぶと、カカシはついに堪えきれなくなったようにぷっと吹き出した。
ってば面白すぎ・・・!!(爆笑)」
「笑いすぎよっ、カカシ!そ、それにねぇ、あたしはカカシのファーストキスなんか奪った覚えはないわよっ」
恥ずかしいやら腹が立つやら、は真っ赤になっていた。そのうえカカシの腕は緩むこともなく、ぴったりとその胸に抱き寄せられたままだったし。
「へー、そぉんなコト言うわけ?幼馴染のサンは」
ふーん、と恨みがましい目で見られて、はたじろいだ。
「オマエが『乙女の純情』なら、オレは『少年の純情』を返してほしいねー?」
「カ、カカシのどこに『純情』なんてモノがあるのよ?!」
「『あたしがカカシのお嫁さんになってあげる』」
「へ?」
「『カカシのお嫁さんになって、赤ちゃんいっぱい産んで、カカシに家族をプレゼントしてあげる』」
「・・・・・・?!」
「やっぱ、忘れてたか・・・」
そう言って、カカシはほんの少し寂しそうに笑った。は驚いたような瞳でカカシを見上げた。
「それ、あたしが言ったの・・・?」


――頭の中で、幼い男の子と女の子の声が聞こえる。
『いいなぁ、は。誕生日プレゼント、いっぱいもらえて』
『なんで?カカシはもらえないの?』
は両親からもらった誕生日プレゼントの包みをビリビリと破いているところだった。
『だって、オレはひとりだし』
気がつけば、この幼馴染の少年はひとりぼっちになっていたのだ。は一生懸命考えた。
カカシのために、何か自分にできることはないかと。
しばらくの間、うんうん唸っていた少女だったが、何事か閃いたらしい。
『あたしがカカシのお嫁さんになってあげる!』
『え?』
『カカシのお嫁さんになって、赤ちゃんいっぱい産んで、カカシに家族をあげる』
そうしたらプレゼントがいっぱいもらえるよ、とはにっこりした。
『ね、約束だよ』
そう言って、は、驚いて固まっているカカシに『ちゅ』とキスしたのだった。


「う・・・そ・・・・・・」
「イタイケな少年はその言葉を信じて、をお嫁さんに貰うんだったら『がんばらなくちゃ』って思って、
 修行も任務も人一倍がんばっちゃったんだよね〜。
 そうしたら、いつの間にか『里一番のエリート忍者』なんて呼ばれるようになっててさ」
「そんな・・・」
「で、ある日突然、幼馴染のサンは友達から預かったラブレターをオレに差し出す始末・・・。
 あんな子供の頃の約束を覚えているのはオレだけかと思って、結構ショックだったよ」
「あ・・・たし・・・どうしても断れなくて・・・。カカシがそんなふうに想っていてくれたなんて知らなくて・・・」
の性格は知ってるから、断れなかったんだろうなとは思ったケド」
あれは結構キツかったなー、とカカシは笑った。は、じわりと涙があふれてくるのを感じた。
「ちが・・・う。ちがうの・・・。本当にイヤだったら断ってたと思う。あたし、カカシの気持ちを
 確かめたかったのかもしれない」
「?」
「他の女のコからのラブレターなんか受け取らないで欲しかったの。そんなの必要ない、って言って欲しかったの」
ポロポロと大粒の涙がこぼれた。
「あたし、ずるい・・・よね。好きなら好きって、ちゃんと言えば良かったのに。その勇気がなかったの・・・」
の瞳から溢れる、真珠のような涙をカカシはくちびるでそっと吸い取った。
「じゃあ、今は言える?」
は涙をぬぐうと、恥ずかしそうに微笑んだ。
「あたしはカカシのことが好き。小さい時からずっと好き・・・」
「ごーかっく よく言えましたvv
カカシは嬉しそうにに抱きついてきた。
「きゃぁ!」
「んじゃ、今までのツケを払ってもらおーかな
「ツ、ツケ?!」
「そ!『少年の純情』を玩んでくれちゃってー」
「なっ?!」
「あ、そうそう!オレのいないところで、ほかの野郎と飲みに行っちゃダメだからね〜?」
の抵抗は、カカシのくちびるで封じられてしまった。


そのころ、家の門前では、一匹の忍犬が落ち着きなくウロウロと行ったり来たりを繰り返していた。
どうやら計画はうまくいったようだが、恋人達の逢瀬に割り込んでいくわけにもいかず、は玄関先で入るべきか入らざるべきか悩んでいた。
もう夜が明けているが、昨夜はカカシを追いかけて里中を駆け巡っていたせいで、まぶたがくっつきそうである。
を祝う気持ちに嘘はないが、ほんのすこしだけ寂しい気もした。

あの小さかったお嬢様が恋をして、恋人ができるとは・・・。
さて、わたしくしも一眠りしてから、可愛い恋人でも探しにいきましょうか・・・。

は玄関先に寝場所を決めると、パタパタと尾を振りながらゆっくりと目を閉じた。




【あとがき】
『7000hitリクエスト』碧さまのリクエストでございます。大変遅くなりましたー!
リクエストいただいた内容は下記の通り。
 ・カカシ先生と幼馴染の特別上忍
 ・忍犬のおかげで恋愛成就
えー、かなり端折ってます。あんまり書くと、頂いたリクエストから程遠いことがバレてしまいますので(笑)
カカシ夢というよりも、忍犬夢かも・・・?!
リクエストいただいた碧さま、ありがとうございました♪

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
 2004年5月28日