存在意義
――生暖かい血が流れていく。
「・・・せ、せんせ・・・い・・・」
「なぜ、私の後を追ってきたのだ・・・神子・・・っ?!」
この腕の中の命の火が消えていこうとしているのが、リズヴァーンにはわかっていた。
平家軍の放った矢はの胸元を深く貫き、その命を奪おうとしている。
「・・・離れ・・・たくなか・・・た・・・・・・」
「神子・・・っ!」
抱きしめた身体はどんどんその熱を奪われていく。
なぜ・・・なぜだ・・・っ!?
私はいつも選択を誤ってしまうのだ・・・!?
が生きる運命を――ただそれだけを願っているというのに、リズヴァーンは数多のの死を見送っていた。
己が腕の中で愛する者の命が消えていく。その苦渋を何度味わえばよいというのか。
「ごめん・・なさ・・・い・・・」
「お前が謝る必要などない」
リズヴァーンがそう言うと、はほんの少しほっとしたような表情を浮かべた。
「・・・?」
ゆっくりとその瞳が閉じられたかと思うと、長い睫毛が一瞬震え、二度と動くことはなかった。
「・・・なぜだ・・・なぜ・・・!!」
――私と出逢ってしまったことが、お前の最大の不幸だったのだろうか・・・?
だが、何度あの時間を繰り返しても、お前と私は出会ってしまうのだ。
何度繰り返しても、鬼の里は焼かれ、私はお前に命を救われる。
そして、私ではなく、お前の命が失われる・・・。
お前の生きる運命を私は見つけ出すことが出来ないのか・・・?
いや、違う。
お前の生きる運命は必ずある。そして、私はそれを必ず見つけ出してみせる。
お前が生き延びるためなら、私は何度でも時空を超えよう。
この世の理を捻じ曲げてでも、お前の運命を変えてみせる。
――たとえ、この身が真の異形の者と成り果てようとも。
それだけが私の願い。
それだけが私の生きる糧。
【あとがき】
ネオロマ企画投稿作品。
く、暗くてゴメンなさい。。。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
2007年6月16日