Say You Love Me 第6話




がカカシに連れてこられたのは、今朝自分が逃げ出したカカシの家だった。
「適当にしてて」
「うん・・・」
はぼんやりと立ち尽くしていた。
ここまでなにも会話がなかった。は何と話を切り出していいのか、道中ずっと悩んでいたのだ。
しかし、カカシの部屋に連れてこられると、いやでもベッドが目に入ってしまう。
今朝の自分達のことを思い出してしまい、頬に朱が昇る。
「さっき一緒に居たのって、みんな会社のヒト?」
「え、うん。そう・・・。会社の後輩たち」
今のカカシは緑色のベストも脱ぎ、口布も額宛も外していた。その頬に走る傷跡を見て、は驚いた。
「カカシくん?!その傷、大丈夫なの!?」
「ああ、コレ?もうずいぶん昔の傷だよ」
「そうなんだ・・・」
はホッとため息をもらした。が、カカシが自分を見つめていることに気づくと、はまた俯いてしまった。
恥ずかしいけど、ちゃんと話しなきゃ・・・。
「あの、ね・・・カカシくん。ゆ、昨夜のこと・・・なんだけど・・・」
「――今朝、なんで何にも言わないで帰っちゃったの?」
予想以上に近い位置からカカシの声が聞こえてきて、がパッと顔をあげると、驚くほど至近距離にカカシが立っていた。
「うわ!」
驚いたが2、3歩後ずさると、ヒザの裏になにかがあたる感触があって、は思いっきり後ろに倒れてしまった。
さん?!」
がぶつかったのはベッドで、しかし倒れこんだのもベッドだったので痛みはなかった。
「大丈夫?」
「あ、うん・・・」
は起き上がろうとしたが、いつの間にか頭の左右にカカシの腕があり、起き上がろうにも起き上がれない状態だった。
さっきまで見上げていたのは天井だったのに、今はカカシが自分を見下ろしている。
これって、まるで押し倒されてるみたいじゃないーっ?!
「あ、あの、カカシくん・・・大丈夫だから、どいてくれない・・・かな?」
「イヤ」
「はぁ!?」
ジタバタと暴れてみたが、カカシの腕から逃れられるわけもなく。
さんは・・・後悔・・・・・・してるの?昨夜のコト」
いつになく真剣な眼差しで、カカシが自分を見つめていた。は、そのまっすぐな視線から目をそらした。
「後悔なんて・・・」
後悔しているとすれば、後になって自分の気持ちに気づいたことだ。
もっと早く自分の気持ちに気づいていれば、こんなことになる前にキチンと自分の気持ちを伝えられたかもしれないのに・・・。
「オレは後悔なんてしてないよ」
がハッとしてカカシを見上げると、吐息がかかりそうなほど近くにカカシの端正な顔があった。
「!」
「オレはさんが・・・」
カカシの蒼と緋の瞳に吸い込まれそうな気がした。
「それが『写輪眼』・・・」
ハッとしたように、カカシが左目を隠した。
「カカシくんて、すごい忍者だったんだね・・・。そんなすごいヒトだなんて知らなかった・・・」
「――オレはオレだよ」
カカシはそう言うけれど、一般人とはいえ、も木の葉の里に生まれた人間である。
『写輪眼のカカシ』と呼ばれる彼が、どんなに優れた忍者か知らないわけはなかった。
そんなすごいヒトが自分を好きになってくれるわけはない、自分の想いに応えてくれるはずはない、とは思った。
「昨夜のコトはごめんなさい・・・。あたしが無理やり誘ったんでしょう?カカシくんも忘れてくれていいから・・・」
「なんでそんなコト言うの・・・?」
哀しげなカカシの呟きに、はハッとした。
「オレはさんが好きだ・・・。オレの気持ちは、迷惑・・・?」
「迷惑だなんて、そんなことあるワケない・・・んんっ?!」
の目の前には、カカシの伏せられた長い睫があった。キスされているのだと気づくまでに、数秒かかった。
さん・・・」
熱っぽい声で名を呼ばれたかと思うと、再びくちびるを奪われた。カカシの声に、身体が甘く痺れた・・・。




【あとがき】
カカシ先生に告白されちゃいました ちょっと強引なカカシ先生・・・?!(笑)
次回、最終回でございます。あと1回、おつきあいくださいませ♪


最後まで読んでいただいてありがとうございました。
 2004年4月22日