Say You Love Me 最終話
「ねー、起きないの〜?」
「・・・・・・」
「起きないと襲っちゃうよ〜v」
・・・・・・っていうか、襲われちゃったから起き上がれないんでしょーがッ!
「あ、もしかして怒ってるの〜?」
は布団にくるまって、みのむし状態になりつつ、カカシをじとーっと睨みつけていた。
「あ、いや〜、その・・・」
が怒っていることがカカシにもわかったのだろう、頭をポリポリと掻きつつ、ゴメンとつぶやいた。
「さんがあんまり可愛くて、つい・・・」
「・・・・・・」
「いや、その、さんって普段はハキハキしてて、姉御肌って感じデショ?それが、アノ時はすごく可愛いっていうか・・・
色っぽいって言うか艶っぽいと言うか・・・そんなさんを見たのは初めてだったから、つい夢中に・・・」
「それ以上は言うなーっっ!!」
真っ赤になったは手近にあったマクラをつかむと、カカシに向かって思い切り投げつけた。
しかし、相手は忍者である。ヒョイと軽くよけられてしまい、をさらに苛立たせた。
「だって、ホントのことだもーんv」
「う、うるさーいッ!恥ずかしげもなく、そんなコトを・・・え?」
「ん?」
「・・・さっき『初めて』って言った・・・?」
あ、ヤバ、と口を押さえたのは、自ら白状しているようなものである。
「じゃあ、こないだのあたしの誕生日には、その・・・何もなかったの?」
「・・・うん」
「?!」
は驚いて、口をパクパクさせていた。
あたしがあんなに悩んだのはなんだったのー!?カカシくんを押し倒しちゃったのかも、って心配したのにーッ!
の言いたいことがわかったのか、カカシは素直にゴメンと頭を下げた。
「ゴメン!さんが誤解してるのはわかってたけど・・・」
「わかってたんなら、ホントのことを教えてくれたらよかったじゃないっ!」
さっきまでうつむいていたカカシがパッと顔をあげ、をまっすぐに見つめた。
「――さんてさ、オレのこと『オトコ』だと思ってなかったデショ?」
「へっ?」
「友達とか、弟とか・・・そういう風にしか見てくれていないのがわかってたから、
ちゃんと『オトコ』として意識して欲しかったんだ」
確かに自分はカカシを仲のいい友達か弟のように思っていて、カンペキ恋愛対象外の存在だった。
いや、本当は無意識のうちに排除していたのかもしれない。
偶然出逢った年下の男――顔立ちもよく、スタイルもいいし、なにより優しい男。それに引き換え、自分は・・・?
顔もスタイルも十人並み。とりたててこれといった特技もなく、どこにでもいるようなフツーのOL・・・。
とっくに好きになっていたのに、無意識のうちにその気持ちを押し殺していた。
「あの夜、さんが酔いつぶれて眠っちゃって。正直、既成事実を作っちゃうチャンスかなって思ったけど・・・。
そんなコトして、さんに嫌われたくなかったし。パジャマに着替えさせて一緒のベッドに入ったけど、何にもなかったんだ」
「何にも、っていう割には、胸元にキスマークがついてたけど?」
いささか冷静さを取り戻したのか、は腕組みしてカカシを睨みつけた。
「いや、アレはさすがにガマンできなくて・・・」
もうひとつのマクラをとって、カカシに向かって投げつけた。今度はカカシもよけず、マクラを受け止めた。
「さすがにちょっと強引だった思う・・・そのことは謝る。けど、さんを好きなのはホントなんだ」
「・・・」
「さんは、オレのこと、どう思ってる?オレじゃダメ?」
捨てられた子犬のような瞳で、カカシが自分を見つめている。
――まったく、このオトコときたら・・・。
子供っぽくって、ワガママで。かと思えば、意外にも策士なところもあったり・・・。艶めいた声で愛を囁いたかと思うと、情けなさそうな自信のない声で自分のことをどう思っているか聞いてきたり・・・。
とてもじゃないが、『里一番のエリート忍者』だなんて思えない。
カカシの言う通り、『オレはオレ』なのだ。カカシはカカシで、の知るカカシ以外の何者でもない。
はフッと肩の力が抜けたような気がした。
「そうねー、キライじゃないわよ」
「うう・・・オレってまだそんなレベル?」
ガックリと肩を落としたカカシを見て、はクスリと笑った。
「・・・決めたッ!」
「は?」
「さんに、オレを好きって言わせてみせる!」
グッとこぶしを握り締め、カカシが高らかに(?)宣言してみせた。
「オレのことが好きで好きで仕方がない、って思わせてみせる!」
一瞬呆気にとられただったが、思わず噴出してしまった。
「で、カカシくんは、あたしのことどう思ってるの?」
ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべながら、カカシに質問してみる。
「それはね・・・」
「キャ!」
突然抱き寄せられ、バランスを崩したはカカシの腕の中へ倒れこんでしまう。
「オレには、どうしようもなくさんが必要なんだ・・・。だから、オレのことを好きになってよ」
耳元で艶っぽい声で囁かれ、ドキリとしただったが、平然を装って答えた。
「ま、せいぜい頑張って」
「ちぇーっ!絶対言わせてみせるもんねっ!」
子供っぽく口を尖らせたカカシに、は苦笑した。
どうやら思っていた以上に、自分はこの年下のオトコに参ってしまっていたらしい。
けれど、それを悟られるワケにはいかない。
年上のオンナを嘗めてもらっちゃ困るわよ、カカシくん?
さ、お手並み拝見と参りましょうかv
【あとがき】
全7回、ようやくラストでございます。『カカシくん』はいかがでしたでしょーか?(笑)
ようやく、いつもの当サイトのカカシ先生に近づいたようです(笑)いつもよりちょっと若い感じのカカシ先生だったかも・・・。
長らくお付き合いいただき、ありがとうございましたv
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
2004年4月23日