欲求不満




「おじゃましまぁ〜す!あ、コレお土産ね」
「え、うわぁ!ちょ、ちょっと待てって!」
オレの返事も聞かずに勝手に上がりこんだアイツは、なんの迷いもなくリビングへ一目散。
オレはというと、アイツがお土産といって放り投げたスイカを受け止めるのに精一杯・・・。
慌てて追いかけてリビングに入ってみると、そこにはグッタリと寝そべったアイツの姿。
「いきなりヒトん家へやってきて、なにやってんの、オマエ?」
「・・・うわぁー、涼しいよ〜ん!天国だぁーっ!!」
ぴったりとしたTシャツに、涼しげなコットンのミニスカート。すらりとした長い足が丸見え。
そんなカッコで、オレんちのリビングで何寝そべってんだよ、オマエは?
「ウチのクーラー、壊れちゃったの。おかげでさー、暑くて夜眠れなくって寝不足なんだぁ」
って言った途端に、寝るかフツー?
「オーイ?」
「カカシ、うるさい」
「っていうか、オマエも忍者なんだったら、ちょっとくらい暑いのガマンすりゃいいだろ?」
「イヤよ。任務だったらガマンするけど。しなくていいガマンはしません」
「あっそ」
「んじゃ、おやすみなさい」
「・・・オマエねぇ」
聞こえてきたのは、穏やかな寝息。オレは仕方なく、隣の部屋からタオルケットをとってきて、そっとかけてやった。
「ったく・・・。襲っちまうぞ、コラ」
なんでオレんちへ来たんだよ?
オレのコトをただの『友達』だとしか思ってないから?それとも『オレ』だから?
後者であることを祈りつつ、オレも隣に寝そべってみる。子供みたいに無邪気な寝顔にため息をつく。
「しなくていいガマンはしない、か・・・」
目が覚めたら、オレの『欲求不満』の解消のお手伝いをしてもらおうか・・・?