元素L




『好きだ』
遊びでなら、出会ったその日に言えた。
でも、今はそのヒトコトが言えなくて、オレは困ってる。
「ねぇ、カカシ、話ってなぁに?」
オレの目の前で、は嬉しそうにパフェをつついている。
話があるって呼び出したまでは良かったものの・・・そのヒトコトが言えなくて、間が持たなかったオレは、とりあえず喫茶店にを誘ったのだ。
「どうかしちゃったの〜?なんか、今日のカカシ、ヘンだよー」
そう言って、オレの顔を覗き込んだかと思うと、はニヤッと笑って
「あ、いつもヘンかぁ〜」
と言った。
あのね・・・オマエってば、オレのコト、どー思ってるワケ?
カラン、と音を立てて、アイスコーヒーの氷の山が崩れた。グラスについた露が流れていくのを、オレはじっと目で追っていた。
「ホント、どうかしたの?大丈夫?」
ああ、頼むから、そんな可愛い顔してオレを見上げないでよ。
最初はただのパートナーだった。それがいつ変わったのだろう?ゆっくりと化学変化が起こるみたいに、いつのまにかオレの心はすっかり彼女に侵食されてしまっていて。
さて彼女にその想いを伝えようと思ったまでは良かったのだけれど・・・。
想いはオレのなかにあるのに、それを言葉にするのはすごく難しくて。
喉元まできているのに、なかなか言葉にならなくて。
ああ、もう・・・Sクラスの任務のほうがどれだけラクか知れないや。
好きなひとに『好き』っていうのが、どうしてこんなに難しいんだろ・・・?
「オレ、さ・・・オマエのこと、好きなんだ」
が驚いてる・・・ってゆーか、驚きすぎ。それって、オレの気持ちに全然っ気づいてなかったってコト?


オレの言葉が空気に触れて、キミへと伝わる。
さぁ、オレの言葉は、キミの心にどんな化学変化を起こすのだろう?




【あとがき】
ポルノグラフティの『元素L』から。そのまんまやんけ、というツッコミはなしの方向で(笑)
かわいい曲です。大好き。

♪好きなひとに「好き」と言うだけで、なぜこんなにも大変なのだろう

ホントに大変ですよね(笑)

 2004年9月12日 (web拍手オマケページにて使用)